個人的に好きな分析がありまして。それが「サイト内検索」の分析です。
なぜ好きか?
- 自社名ワードがノイズになる外部検索エンジン流入キーワードとは違い、ユーザーの目的・ニーズが如実に表れるレポートなので。
- また、アクセス解析だから取れるその後の行動指標と合わせて見ると、結構簡単にサイトの問題点が見えてくる。
という代物だからであります。いやー、便利。っていうか楽。
また同時に、弊社の場合は
サイト内検索結果を利用するユーザーはCVRが高い
ということが明確なので、注力していたりします。ということで、
本稿ではアクセス解析上でのサイト内検索分析について、「取るべき項目・指標」と「どうやって読み説くか」ということをサラッと書こうと思います。
まず取るべき項目と指標について。ザッと下記のようなものが取れていればOKです。
- サイト内検索キーワード
- 検索回数
- 0件検索回数
- 検索結果クリック数
- 一訪問あたりの検索結果クリック数
- 検索後のPV数
※一旦上記の取り方をサラッと説明しますが、既に取れてるのであれば、下の方の「ここから分析!!」というところまで読み飛ばしてしまってください。
サイト内検索キーワードについては、検索結果ページのURLクエリパラメータに検索語句が入ってる場合、簡単に取れます。
例えば内のサイトなら「analytics」という語句でサイト内検索すると、「http://www.pablos.jp/?s=analytics」となるので、ここから”analytics”を引っこ抜けば良い。GAなら「レポート ビュー設定」の画面でパラメータ”s”を指定すればOKなので楽チン。AdobeならJavaScriptファイルにgetQueryParamのファンクションを書くか、Processing Ruleで設定してeVar変数にセットするなりのやり方がある。いずれにせよ、検索クエリがURLに付いてれば楽に取れます。
URLに検索クエリが残らない場合(Ajax使ってるとか含む)は、サーバサイドから吐く・自力でDOMを抜く・Ajax実行時にカスタム変数に出力する等々、面倒ですがやり方はあるので、ツールベンダーなりウェブに詳しいコンサルなりに相談しましょう。
次に[0件検索回数]ですが、これは「サイト内検索されたけど、”見つかりません”となった回数」を意味します。例えばこんな風になること→http://www.pablos.jp/?s=datamining
このデータを取るのは若干手がかかる可能性があります。自社のシステム部なりツールベンダーなりに相談して、結構お高いカスタマイズの見積もりが出てくる可能性もあるでしょう。そんな時はもう、JavaScriptをゴリゴリと書いて、DOMから「見つかりません」などの固有ワード有無を判定してしまうのが手っ取り早いし安いので、付き合いのある制作会社さんなり、技術に強いウェブコンサルに相談しましょう。
[検索結果クリック数]は、クリックのタイミングでカスタムイベントとして飛ばす必要があります。この辺もやり方はいくらでもあると思いますが、GTM等のクリック計測の仕組みとか使っちゃうのが手っ取り早いかもしれません。
以上のような設定ができれば、下記項目は大体出揃うので、さて分析、と。
- サイト内検索キーワード
- 検索回数
- 0件検索回数
- 検索結果クリック数
- 平均検索結果クリック数
- 検索後のPV数
※検索後のPV数は、GAで取れるのかどうかよくわかってないので触れずに行きます笑Adobeなら1が取れる時点で勝手に取れるので、無視します。
こっから分析!!
以上の計測準備が整うと、下記のようなレポートが出来上がります。
サイト内検索 キーワード |
検索 回数 |
0件検索回数 | 検索結果 クリック数 |
平均検索結果 クリック |
検索後のPV | CVR | |
1. | A | 329 | 0 | 0 | 0.00 | 5.69 | 3.53% |
2. | B | 205 | 0 | 223 | 1.09 | 12.39 | 6.34% |
3. | C | 141 | 0 | 188 | 1.33 | 14.45 | 9.93% |
4. | D | 79 | 0 | 93 | 1.18 | 7.16 | 5.06% |
5. | E | 75 | 0 | 102 | 1.36 | 11.20 | 10.67% |
6. | F | 75 | 0 | 82 | 1.09 | 6.39 | 14.00% |
7. | G | 75 | 0 | 106 | 1.41 | 7.47 | 2.67% |
8. | H | 71 | 0 | 82 | 1.15 | 6.30 | 4.23% |
9. | I | 58 | 58 | 0 | 0.00 | 6.88 | 1.72% |
10. | J | 52 | 0 | 58 | 1.12 | 5.23 | 1.92% |
11. | K | 43 | 0 | 60 | 1.40 | 4.44 | 0.00% |
12. | L | 42 | 0 | 52 | 1.24 | 11.74 | 0.00% |
13. | M | 42 | 0 | 46 | 1.10 | 6.55 | 0.00% |
14. | N | 41 | 0 | 50 | 1.22 | 5.00 | 2.44% |
15. | O | 37 | 3 | 37 | 1.00 | 4.73 | 0.00% |
16. | P | 36 | 0 | 25 | 0.69 | 6.08 | 2.78% |
17. | Q | 35 | 0 | 44 | 1.26 | 6.91 | 2.86% |
18. | R | 33 | 0 | 54 | 1.64 | 10.27 | 12.12% |
19. | S | 32 | 0 | 54 | 1.69 | 7.44 | 3.13% |
20. | T | 31 | 0 | 55 | 1.77 | 10.00 | 0.00% |
《STEP1》
まず[0件検索回数]を見ます。この指標の意味は「機会損失」です。上記表だと9位にある語句に注目です。
ここに数値が上がっている語句=
サイト内にコンテンツが用意されていない
or
検索エンジンが上手く機能していない
前者ならば、ちゃちゃっとコンテンツを用意して挙げましょう。後者の場合は、「英語だと見つかるけど日本語表記だと結果に出ない」や、ファッションECだと「同じ商品だけど違う呼び方に対応していない」等の原因があるかもしれないので、その場合は語句に対応するページに当該語句でのタグ付けなり、テキスト追加をしてあげましょう。
《STEP2》
[平均検索結果クリック]を見ます。これは「検索結果クリック数÷検索回数」で算出します。
前提として、
検索結果ページでのクリック数は1回で済むこと
が理想だと考えます。
ユーザーの目的が比較的明瞭であるサイト内検索においては、その回答(検索結果一覧)が適切であればユーザーは1回のクリックで目的を達成できるはずなので。
ということは、ここの数値が1よりも多すぎる、もしくは少ないというのは検索結果に何かしらの問題があると考えることができます。上記表で言えば、16位や20位のワードに問題がある可能性があります。
1以下のワードは、検索語句に対して素っ頓狂な回答を返していたり、語句に対する意味合いを読み違えていて回答候補が少なすぎる等のケースが考えられます。その語句から派生的に考えられる回答コンテンツ群を追加する、もしくは検索エンジンの調整をする必要があると考えられます。
1以上のワードの場合、検索結果ページとその先のページを何度も行き来して、ユーザーにストレスを与えている可能性があります。検索結果のタイトルやディスクリプションが遷移先のページの意味をしっかりと伝えられていない、もしくは遷移先ページが検索意図に答えられるページになっていない、などの状況が考えられるので、これまた検索結果のアルゴリズム改修や遷移先ページの改修が必要と分かります。
《STEP3》
[検索後のPV数]を見ます。この数値については、高いから悪い、低いと良い、などということが明確に言い切れないので、若干手がかかる指標ではあります。しかし、サイトを改善するためには有用な指標なので、ワードとの関係を捉えながら一個一個見ていく必要があります。
まずはギャップがあるワード例えば「数値上似ている指標と、ギャップのある指標がある語句」を探すところから始めるのが良いと個人的には考えております。例えば、2位の語句と6位の語句のように、平均検索結果クリック数は同じなのに、以後のPVとCVRに大きな差が見られるものを探してみます。その両キーワードに何かしらの類似性があるとしたら、先述の差が生じている理由を探ると何かしらの仮説が導けるのではないか、という具合です。
などなどと、いろんな見方が出来るわけですが。そろそろ本稿も書くのに疲れてきたので止めます。
基本は「比較」「傾向」「割合」を見て問題点というか仮説を作る、というのが割とやり易いのがサイト内検索分析の特徴かと思います。
改善方法も、サイト内検索のアルゴリズム変更や検索対象ページのスニペット変更、検索結果画面の表示自体を改善する、検索以後のページの記載を改修するなど、方法・打ち手はいくらでもあるので、改善ネタには事欠かない部分ではあります。と同時に、それらを模索していくことでユーザーのニーズを的確に読み取れる?というかユーザー目線で自然といろいろなことを考えられるようになる、という部分が実は一番大きなメリットかもしれません。
ただ、一つ問題があるとしたら、ABテストが非常にやり辛い、という部分かもしれません。検索ワードが多種多様なので、アルゴリズムの比較等がランダムABテストだと上手く効かない可能性が高いため、改善の定量的な効果測定が結構ややこしいです。
以上です。