『ストーリーとしての競争戦略』

『ストーリーとしての競争戦略』
楠木健

もう五年も前の出版物になったのね。なんか思い出した、およびサイト更新してる余裕がないから昔書いた備忘録を移植。

有効な競争戦略とはいかなるものか。「ストーリー」という軸に沿って、非常に理論的かつ読み解きやすい語り口で綴られる本作。昨今の経営論的フィールドの主流たるものを非常に快活に記述した良著です。

まず、軸足はどこに置くのか。ポジショニング(SP)をどこに置くのか。何をするのかを決めると同時に、何をしないと決めるのか。一方で、他社の模倣を許さない企業文化(OC)の醸成という点に置くのか。

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『合理的なのに愚かな戦略』

『合理的なのに愚かな戦略』
著:ルディー和子

読んだ。まぁまぁ面白いです。前半は良かったけど、最後の章は微妙だったかな。終盤結構荒い。

基本的に企業研究本。顧客志向を掲げてイノベーションを生み出せない企業に対する苦言や、牛丼チェーンのプライシング戦略への否定など、なかなか的確で切り口も軽妙ゆえに読みやすい。こと、「お客様は神様でも、神様の中には貧乏神もいる」や、「多くの経営者はリスクを取れない」といった切り込みには、仰るとおりと共感を覚える。また、資生堂を槍玉に挙げて、日本のブランド戦略が「商品」ではなく「企業」に紐づいてしまう点、上手くいかない裏にあるしがらみといった部分も、過去の記事文献から推測していく様もそれなりに面白いと思う。また、企業規模の話においてもソニーを槍玉に挙げつつ、大きくなりすぎた企業を動かすことの難しさを論じるあたりも、まぁそうですわな、という感想。

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『マーケッターとデータサイエンティストが語る 売れるロジックの見つけ方』

『マーケッターとデータサイエンティストが語る 売れるロジックの見つけ方』
著:後藤一喜、山本覚

読んだ。LPOについて学ぶ上で的確な本だと思う。読みやすいし。LPOとは何ぞや、ということを学ぶ上で、フレームワークがちゃんと示されていて良い。

一枚のランディングページ上でどのように構成するか、という部分として、p126あたりにある「キャッチユニット」「説得ユニット」「安心促進ユニット」「申し込み回りユニット」取ったような形で、論理的なワイヤーをしっかり作っておく必要があるというのは、強く同意する。LPOとか下手にやってると、徐々に感覚が麻痺したり営業的観点の謎セールス要素が入ってきて、いつの間にか意味不明な構造のページが出来上がっている、というのはよくある話なので、その辺りを改めてキチっと定義する上でもありがたい。

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