今までにGoogle AnalyticsとAdobe Analyticsの違いについて二本(「Google AnalyticsとAdobe Analyticsの比較」、「僕がGoogle Analyticsを薦めない理由」)ほど書いたことがあって、その記事はいまだに特定のワードでの検索結果上位を維持しています。ありがたいことに(ありがた迷惑なことに)、同記事の内容をそのまま転用して営業トークをかましてくる会社さんとかもあるわけですが。
まぁ、改めて読んでみると、どっちも2年以上前の記事になってしまったけれど全然風化してないな、って思ったので、割りと頑張って書いた甲斐があったな、と思ってるわけです。
とは言えこの2〜3年である程度のアップデートや市場の変化もあったので、改めて、最近のソリューションや、「マーケティング」という概念について、少し個人的に思ってることを書こうと思います。
なお、以下長文ですし、完全に一個人の暴走気味な妄想が入ってるんで、ジョーク交じりのものとして捉えてください。「異論!反論!オブジェクション!」からは逃げますので。
GoogleとAdobeは「Analytics」という単体ソリューションで比べるものではない
これはもう言わずもがなで、ウェブサイト計測ソリューション単体での比較というのは的外れなのは自明。2016年にGoogleがGoogle Analytics 360 Suiteを発表した時点で、完全にトータルソリューションとしての考え方をする必要がある、と各社のプレーヤーは肌感としてくらいは実感できたのではないかと思ってます。
360 Suiteの方はまだ広く完全に開放されているわけではないようですし、かつ既に操作してみた人からすると「出来はまだまだ」という評価が多いようです。これから進化していくのは間違いないんですけど。
ただ、そういうことはどうでもいいんです。私が言いたことは、GoogleがABテストツールやダッシュボードツール、DMPを連携させてトータルでのソリューション構成をしたところで、本質は変わってない、っていうことです。
Googleの思想って何よ?
「僕がGoogle Analyticsを薦めない理由」でも言及したとおり、あくまでGoogleの思想の軸は「企業側のマーケター」ではなく、「生活者・消費者」を中心に考えられている、ということ。
そして、Googleの思考は、「企業のマーケティング」とは事業者都合のプッシュ施策ではなく、消費者の行動データにもとづき、AIによって中立的な判断とレコメンドによって実施されるべきである、ということ。それが最も生活者にとって有益である、と。
これは理にかなった話で、一消費者である自分としても、自身にとって最適なものが機械的に選択・レコメンドされ、それを買えばいい、というのはありがたいことだと思います。
ただ、ここで私が思うことは、少し捻くれた見方かもしれませんが、つまるところのGoogleの理念は「マーケティング活動に人間は不要である」ということの表明だとも捉えられるのです。
マーケティングに人間の思考は不要である
これが面白くて、この考え方って、アダム・スミスの『国富論』に書かれた「神の見えざる手」の考え方に似てるなぁ、と思うんです。投資家による個々の利益追求と、それによる自動最適化、っていう考え。ただ、このシステムは当然うまく機能せず、結果として国の介入が必要である、ということは経済学史を学べば容易に理解できることなわけで。
で、この仕組みは、「人は合理的な判断を行う」という前提に成り立っていたのだけど、それは20世紀に入って、行動経済学という分野によって「人は非合理的な判断を行う」ということも証明されている、ということもあったりで。
何が言いたいかと言うと、Googleはこの「非合理性」を、データとAIによる自動最適化で乗り越えることを目指す、というような考え方のように捉えられるんですよね、っていうことです。
この辺は与太話です。はい、すいません。。。
「マーケター」不要論
極論、Google曰く、「マーケティング」はプロダクトと投資額、データによって最適化される、ということで、「マーケター」という職業・機能はもはやクリエイティブなものではなく、投資家のような資産運用システムに徹するべきだ、というような話だったりもする。一方で、プロダクトとして洗練されたもの、イノベーティブなものをいかに生み出すか、ということに企業活動はより重点を置くべきである、ということを、裏読みしまくると言えたりもする。
いや、まぁさて置き、もうちょい端的に言うと、「マーケティング」って何のために必要なの?っていうことをもうちょっと考えるべきじゃないか、っていう話です。
そして、「Google Analytics 360 Suiteって面倒な操作とかいらないし、いろいろ自動化されて楽だよねー」とか言うマーケティングな人がいたら、それもう思考停止してない?終わってない?自分の仕事を低く見すぎじゃない?っていうことなんです。マーケターの業務って、財務部の仕事と一緒なの?っていう。
で、この辺でもう文章が長くなってきたので、一旦締めます。
あと、「パーソナライズ」って観点と、「Adobe Marketing Suiteの思想」って話と、「ソリューション連携」って話と、「人間の行動を表す最重要データとは何ぞや」っていう話も書こうと思ってるので、後日書きます。