BtoBソリューション営業の価値とは何か?

事業者側でデジタルマーケティングを実践する者として、非常に強く疑問に思うことが一つある。

BtoBソリューション営業の価値とは何なのだろうか?

ソリューションを導入する立場として、これまで「営業」という役割の人が役に立ったと思ったことがない。せいぜい価格交渉役としての役割しか無いように思える。

ソリューション導入において、あくまで一番重要なのは「中の人」だと私は思っている。中の人の采配が全てといっても過言ではない。

予算を調整し、実行プランを構築し、決裁者に説明して契約を結ぶ。この一連の流れにおいて、「営業さん」が関与できるのは最初のプロセスのみ。こと、年度で決まった予算内に価格を調整するか、もしくは諸々の条件を付けて検討範囲内に抑え込むことしかできない。

「営業さん」は提案資料は作れども、社内決裁資料を作ってくれるわけではない。決裁者のツボを抑えて、実際の費用対効果試算から実行プランの検討、導入以後の運用に落とし込むところまで、実施するのは中の人である。

これまで会ってきた営業という職種の人はいったい何をしてくれたのだろう?

ということを思ったりすると、既存の取引先の営業さんが悲しむから言わないけど。

っていかまあ、ぶっちゃけこちらの要望を実現するために、海外ヘッドクオーターとの厳しい交渉をしてくれたり、諸々の諸条件を整えてくれたりと、結構働いてくれてるのも事実だったりする。

なので、ここまで書いたことと背反するけれど、やっぱりユーザーサイドにとっても必要な存在であることは事実だと思う。

ただ一つ、非常に腑に落ちないことがあってこういうことを書いてしまったのも事実。

BtoB営業のインセンティブ高すぎ問題はあるのではないか?

私の勤める会社では、多くの海外ソリューションを導入している。つまり相対する営業さんは外資系営業である。ゆえに、給与の大半がインセンティブで締められていることが多い。そして、それらの営業さんの大半の給与は、私と比べて少なくとも2〜3倍はある。時にはインセンティブ報酬だけで、月の給与額が私の前年の年収を超えることすらある。いやはやほんと嫌になる。六本木や東京駅らへんにある某社、ちょっとインセンティブ高すぎない?(事実、六本木や東京駅周辺にはいくつもそういった会社が存在している。)

さて、その事実を知ったときにどうだろう?営業さんは「相応の働き」をしてくれているのだろうか?

私が思うに、ソリューション導入において一番重要なポイントは、中の担当者がいかに社内を動かすか、である。てかもうそれが全てだと言って良い。自身の業務ながら、それが無い限りは絶対ソリューションは導入されないのだ。加えて導入以後の苦行も背負い込むことになる。売って、はい終わり。ではない。何年もそのソリューションを使って、業績向上にコミットして試行錯誤する。ぶっちゃけ超忙しい。なんでこんなことしてんだ私、って思う。

それに対して、営業さんはまあ売ったあとってほとんど出てこないよね。高額報酬を受け取ってそれ以降めったに顔を出さない。それは合理的なシステムだし、正しいとは思う。けれど、そこまで「営業」って職種に価値があるのか、って話になったら、そんなにまで価値があるとは思わない。お前らそんなに偉かったっけ?ってなることも多々ある。

話が少し変わるが、昨今では「カスタマーサクセス」という業務も脚光を浴びている。BtoB企業のカスタマーサクセス職は、ユーザー企業担当者にとっても必要な存在である。てか、営業よりも圧倒的に密なやり取りをするし、カスタマーサクセスがへんちょこだと、ユーザーサイドとしても非常に困る。だからCS職のほうが本来的には有益だと思うが、一方で彼らのお給料は上がらない。加点方式ではなく減点方式、つまり解約されると給料が下がる。とはいえ、私の2倍以上のお給料をもらっているのだから、もうちょい頑張れよ、ってことも思う。

さてさて最後にまとめてみよう。

昨今のサブスクリプション型のクラウドサービスにおいて、「継続利用」こそが収益源である。継続利用においてもっとも重要なロールを考えてみよう。

ユーザー企業担当者>カスタマーサクセス>営業

であることは言うまでもない。もうこれは圧倒的に正しい事実だ。ベンダーサイドにいる人は気づかないかもしれないが、ベンダーもユーザーも両方経験している私からすれば、これがもう圧倒的正義である。

だがしかし、世の中の給与構造は逆転する。BtoBソリューション営業の年収、特に外資系はやばい。アホか、って額をせしめている営業を何人も知っている。けど、本当にそこまでの仕事、ほんとにしてるの?って思う。

てか、なんでこんなこと書いたのかっつーと、ほんと闇だな、って思ったから。社会の闇とまでは言わないが、日本のデジタルマーケティング系に携わる人にとっての深刻な闇だと思う。

いやー、ほんとやる気無くすわー。あんたらの営業目標とか知らへんわー。

さて、なんでこんなことを書いたのか、という弁明を。

とある酒場での話である。私はその人を知らない。ただ、隣の席から聞こえてくる話が聞こえてきただけだ。

それは20代であろう若手の営業マンとおぼしき二人組だったわけだが、まあクライアントに対する文句が出るわ出るわ。

「あの企業はほんとケチで、担当者もやる気ないし、どんだけこっちが頑張ってんのかわかってんのか」的な。「んなもん無理に決まってんだろボケ」的な。

何勘違いしてんだ、こいつってな具合で面白おかしく拝聴していたわけですが、まあほんとベンダー企業の営業マンがこうも勘違い発言を繰り返すとムカつくわけである。自社のことでもなく、ましてや自分が批判されているわけでもないが、まあこいつアホやな、ってな具合にムカつくわけである。

世の中の大半はポジショントークであることは自明とはいえ、勘違い甚だしい発言に対しては異を唱えねばなるまい。

実際、どこの企業の営業マンかも話の内容からして明らかになったことだし、幸いなことにうちとの取引は無い会社なのでどうでもいいのだが、しかしながら何回か営業メールは頂いておりましたので、今度あえてお話を伺ってみようとも思っている程度だ。

あー、楽しみ。

 

なお、一応誤解なきように書いておくと、私が対面に立っている取引先の営業さんに対しては、だいたい感謝している。かく言うも、私が提示する交渉条件は厳しい。自分で言うのもなんだが、営業さんは大変な社内調整をしては、即答で私からNoを突きつけられる、という経験をしてきているのを知っている。「本社からNoが出ました」と伝えた結果、間髪入れずに「じゃ、うち的にもそのNoにはNoです」と返された経験をした営業さんは記憶していることだろう。Noを言う権利はどちらにもあるんだぜ、つって。

てなもんで、割と私との交渉テーブルについて苦行を味わいつつも、ちゃんと要求に答えてくれた営業さんはちゃんとしてると思ってるのでご安心を。

なお、下請法的なあれにも引っかからないし、対等な条件交渉であることも付記しておきますけど。