『マーケッターとデータサイエンティストが語る 売れるロジックの見つけ方』

『マーケッターとデータサイエンティストが語る 売れるロジックの見つけ方』
著:後藤一喜、山本覚

読んだ。LPOについて学ぶ上で的確な本だと思う。読みやすいし。LPOとは何ぞや、ということを学ぶ上で、フレームワークがちゃんと示されていて良い。

一枚のランディングページ上でどのように構成するか、という部分として、p126あたりにある「キャッチユニット」「説得ユニット」「安心促進ユニット」「申し込み回りユニット」取ったような形で、論理的なワイヤーをしっかり作っておく必要があるというのは、強く同意する。LPOとか下手にやってると、徐々に感覚が麻痺したり営業的観点の謎セールス要素が入ってきて、いつの間にか意味不明な構造のページが出来上がっている、というのはよくある話なので、その辺りを改めてキチっと定義する上でもありがたい。

前半の後藤氏執筆箇所は主に「行動経済学」を起点とした話ではあり、参考になる話だと思う。ただ、個人的にはこれが「行動経済学」かと言えば、そうではないという風に思う。まぁ一部を切り取っただけであり、本著自体が行動経済学の本ではないので当たり前なのだけど。

とりあえず行動経済学を学ぶならば、この本でも参考文献に上がっているダニエル・カーネマンの著作を読んだ方が良いとは思うし、実際の施策に対するインスピレーションにもなると思う。あくまで本著は行動経済学的な観点というのは必要だよね、という話。

 

後半の山本氏執筆部分は、仮説構築のフレームワークであったり、多変量解析の統計上の考え方だったり。仮説構築のフレームワークについては非常に参考になる部分はあるし、本来的にウェブマーケターがやって当然のことではある。が、なかなか出来ないのも事実なので、そのジレンマを解消するにはどうしたものか、というところも今後突っ込んで論じてみてもらいたい気がする。

統計学上の考え方については、まぁ数字嫌いな人には若干苦痛ですな。”δ”とか。考え方を学ぶ上では内容的にも専門的すぎない気はするので良いと思う(もしかすると全然統計知識のない人に取ってはサッパリ理解できないかもしれないが)。あと、本著にある考え方は、DLPOの仕様の大元の考え方なのかな?おそらくツールによっては異なる考え方で信頼度や区間を出しているものもあると思うので、これが全てではないというのも抑えておいたほうが良い気がする。

 

全体通して読みやすいし良い本だと思う。これからウェブ業務に初めて取り組む際の必読書にしてもよいのではないかしら。

とは言え、あくまで個人的にはダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』も併せて読むことを推奨したい。