ビジネスには役立たないけど、2018年のマンガについて考えてみる

2018年も終わるので、趣味関連の話も少しまとめようかな、って思ったので書きます。まずマンガについて。

今年は個人的に、ついに電子書籍購入を本格化させた一年でして、普通にマンガ本が溜まらない、っていうのは良いな、って。スマホだと読みづらいけど、タブレットだったら全然読見やすいし。電子書籍だと、たまに結構驚くレベルの値引き価格やポイント還元が発生していて、その点でも非常にありがたいと思う次第。

なお、この記事はビジネスにはなんの役にも立たない。デジタルマーケティングに関するブログではあるが、本記事は全くもって関係ない。それがなんだと言うのか。この年末年始、ビジネス書を読むなんざクソ食らえである。休みは休みだ。休息はしっかりと取るべきである。日々酷使した脳みそを少しくらい休めてもバチはあたらない。そう、今こそその凝り固まった脳みそを、秀逸なマンガ作品で緩和するべきである。

■2018年、印象に残った作品

さて、今年特に印象に残ったのは、以下の作品かな、という感じです。

  • 『彼方のアストラ』篠原健太
  • 『かぐや様は告らせたい』赤坂アカ
  • 『ブラックナイトパレード』中村光
  • 『零落』浅野いにお
  • 『ラジエーションハウス』原作:横幕智裕 作画:モリタイシ
  • 『あそこではたらくムスブさん』モリタイシ
  • 『月曜日の友達』阿部共実
  • 『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央理

一個一個の作品を取り上げていけば、がっつり深い考察とかもできるんですが、今回はまとめ的な感じで書きます。

『彼方のアストラ』はとにかく面白いし、しっかり練られたSF小説のよう

作者の篠原健太は、以前少年ジャンプで『スケット・ダンス』を連載していた作家さんで、『スケット・ダンス』好きで、全巻所有しているファンとしては、待望の新作だったわけでもあり。全5巻で完結というコンパクトさもありつつ、しっかりと練り込まれたストーリーラインが秀逸。

本作は宇宙を舞台にしたSFマンガ。突如宇宙の彼方に飛ばされた高校生たち9人が、様々な星を渡りながら元の星を目指すというストーリー。この話の筋だけで言えば、ありきたりのようでもありつつ。しかしながら本作においてはとにかく、登場人物の生い立ちや、様々な謎が解き明かされていくストーリーの展開が素晴らしいのです。ミステリー小説のごとく回収されていく伏線や、『スケット・ダンス』でも垣間見られたコミカルとシリアスの場面のバランス感覚や話の進め方の上手さもマンガとしての強度を高め、読んでいて飽きないどころか、どんどん面白くなり、深く引き込まれていく。

さながら、クリストファー・ノーランの『インターステラー』を思い起こさせるほど完成度の高い作品になっている。これはホント2018年に相応しくも素晴らしい作品だったと思う。

『かぐや様は告らせたい』が加速する

『かぐや様は告らせたい』はヤングジャンプで連載中だが、まあ本当に面白い。最高です。特にこの一年の展開は良かった。ショートコメディ型、一話完結のストーリーを中心にしつつ、2015年の連載開始以降、一本の物語としての強度と切れ味も年々増していっている。

人間の卑屈な心の動きを描く様は見事で、マーケターたるもの、この作品からマ学ぶことは多いとか少ないとか。こと2018年は、石上くんの体育祭の話あり、現在進行形での文化祭編など、胸熱な展開が多数見られてこともあって非常に良かった。

ヤングジャンプで今一番面白いのは『キングダム』ではなく『かぐや様は告らせたい』である、と個人的には主張したい。

中村光がただのサブカルギャグ漫画家ではないことを示す『ブラックナイトパレード』

『ブラックナイトパレード』は、『聖☆おにいさん』や『荒川アンダーザブリッジ』のようなショートギャグマンガではなく、中村光としては初だろうか、ストーリーマンガとしてしっかりと展開されている快作だと思っている。

年一ペースでの刊行ながら、直近発売された3巻では、憎まれ役のカイザーくんの印象がガラッと変わるとともに、ストーリー全体に緊迫感が徐々に生まれてきている。

ストーリー全体にかかる適度な謎と、魅力的なキャラクター設定、コミカルさとシリアスさのバランス感覚。この文字面だけ取ると、『ワンピース』じゃん、とか思ったけど、ある意味、中村光がそれくらいの才能を持った漫画家だということを示してくれているようにも思う次第。

浅野いにおはどこへ行く?

鳥飼茜との入籍も話題になった浅野いにお。今年は『勇者たち』や短編集を大判で出したが、個人的にはパッとしなかった。なので今回はあえて2017年に出版された『零落』にスコープを当てる。

11年後のエピソードが加筆された『ソラニン』と同発された本作。『虹ヶ原ホログラフ』や『うみべの女の子』『世界の終わりと夜明け前』あたりが私的には好みなわけですが、『零落』はそれらの作品に親しい絶望感が漂い、非常に好みな作品だった。

こと『零落』は、30過ぎのおっさんにはなかなか響くものがあった。浅野いにお本人の心の奥底を描いたのかどうかは分からないけれど、漫画家という仕事に向き合ってきたが故の無力感や、自己実現と現実の間にある葛藤といったものが表現され、なかなかに闇深くもほんの少し共感を得てしまう。ある種のこの鬱屈した心情に改めて浅野いにおとAsian Kung-fu Generationの親和性を感じてしまったり。

偶然だとは思うものの、鳥飼茜の『ロマンス暴風域』もまた30過ぎの男と風俗嬢との得も言われぬ関係性を描いており、『零落』と読み比べてみると一層オチる。最近出たばかりの『ロマンス暴風域』の2巻、私は読んでいて、ところどころで「ぎゃー!!」と叫んでしまった。いやもうほんと、心掻き毟られたよ。

モリタイシは『ラジエーションハウス』で華麗に復活していた

『いでじゅう!』が好きだったわけで。その後の数作も好きだったんですけど、サクッと打ち切られたわけで。そんな中、モリタイシが本作『ラジエーションハウス』で華麗に復活を遂げていたのは想定外ながらも非常に嬉しい話題だった。ドラマ化も発表されたことですし。

さて、本作は「放射線技師」という、あまりその内実を知られていないであろう仕事にスコープを当てた医療漫画。まあ簡単に言いますと、泣くよね。泣く。泣いた。

この作品には熱さがある。モリタイシは絵が上手いというのもありつつ、「熱」を描くことにも定評があった。そんなモリタイシが初の原作付きで医療漫画に取り組み、しかもその原作が秀逸ともなれば鬼に金棒である。こと「乳がん検査」を題材にした話は、日本の医療の問題を描きつつも、家族愛も同時に語られ落涙必至だ。

一方で同時連載している『あそこではたらくムスブさん』は、簡単に言うと「コンドーム」の話である。なぜ取り上げたかと言うと、相模ゴム工業株式会社が本作では協力をしていて、こういう風に自社の主力製品が題材となってそれがマンガ化されるって、いいな、と羨ましく思っただけ。普通に面白いし。

このマンガがすごい!と言われている話題作について

「このマンガがすごい!」で選ばれた作品についても少しだけ書きます。ここでは『月曜日の友達』と『メタモルフォーゼの縁側』の2作品を取り上げてみようと。

まずは『月曜日の友達』について。阿部共実といえば、過去作品の『ちーちゃんはちょっと足りない』のように、少し心に闇を残す作風で知られていると思うが、今作はむしろ田島列島の『子供はわかってあげない』のような温かみがあり、救いがある作品だった。多感な中学生の男女の友情を描く本作。自身の中学生時代を思い起こすのはもはや不可能に近いものの、ここで描かれる劣等感や言い表し難いモヤモヤとした、大人になりきれない情動については、なんとなく今でも理解できるがゆえ、非常に良い作品だったと感じる。

一方「オンナ編」で1位に輝いた『メタモルフォーゼの縁側』はたまたまBLマンガを読んでハマった75歳のお婆ちゃんと女子高生の友情を描く物語。サマリだけ見ると、なんともヘンテコで手が出しづらい感じがするが、内実非常にほのぼのとした触れ合いを描く作品となっていて、読んでいるとほっこりとさせられる。75歳ともなると、気に入ったマンガ作品が完結するのが先か、自分が死ぬのが先か、という切実な問題にも直面するわけで、そのあたりも含めて少しお婆ちゃんに感情してしまった。良い作品である。

■スポーツマンガはちょっと熱量低め

個人的に追っているスポーツマンガはいくつもあるが、今年は2017年と比べると少し落ち着いたかな、という感じでした。

『GIANT KILLING』は2017年の東京ダービー、持田のストーリーが最強すぎたこともあって、今年の展開は割と落ち着いた感はあった。

こざき亜衣の『あさひなぐ』は、2017年に乃木坂46のメンバー出演で映画化されたこともあり、もしかするとあまりスポ根マンガとして認知されていない気もしている。しかし実態は薙刀に打ち込む女子高生の努力と葛藤を描く、非常に青臭い青春物語で、胸に迫るものがあり、非常にオススメの作品である。

『ハイキュー!!』は人気作品ではある一方で、古舘春一という漫画家の才能を信じて疑うことはない一方で、正直そろそろ『ハイキュー!!』は終わってほしいな、って思っている。ストーリーがつまらなくなくなった、というわけではなく、普通に面白い。ストーリー序盤から引っ張ってきた烏野vs音駒戦も終わり、一段落がついた感もある。一方で、やはり古舘春一には前作『四ッ谷先輩の怪談』で感じたように、もっと多彩で練り込まれたストーリーマンガを書ける人だと思っているので、そろそろスポ根マンガを終えて、新たな領域に行ってほしいな、と思っていたりする。古舘春一は、冨樫義博のように『幽遊白書』『レベルE』『HUNTER × HUNTER』と、続けて名作を生み出せるだけの才能があると個人的には思っているがゆえ。

■その他

『コウノドリ』が世間の病気の流行によって、対応するストーリーを無料公開する、ということが二度ほどあったと記憶している。こういった公開方法は、社会的にもマーケティング的にも有益であると思い、講談社の取り組みはビジネス的にも有効であったと個人的には思っている。

『よつばと!』の新刊が2年半ぶりに刊行され、発売日には街の書店で売り切れが続出し、「よつばと!難民」状態がTwitterでも多数報告された。かく言う私もその一人で、わざわざ中野の大きい本屋まで電車に乗って買いに行ったわけである。

■おわり

と、そんな具合で、2018年のマンガについて振り返ってみた。うん、まあ、マンガは本当に面白いなあ、と思う。毎年毎年、いくつも秀逸な作品が出てくるし、どんどんアップデートされていっている感じもする。加えて、日々のクソ厄介な仕事とかを忘れて、心を一旦クリーンにする作用もあると思っている。なので、マンガは良い。素晴らしき文化だ。

ということで、今回いろんな作品について書いたわけで、年末年始休暇もあるわけでして、この記事読んだビジネスマンは、どれか一作くらいは読むべきだと思うんですよね。

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