リスティングキーワードとアクセス解析指標

最近気付いたんですが、リスティング広告とアクセス解析指標があんまり合ってないんじゃないか、と思うのです。リスティングの場合はよく[CPA]が指標になると思うのですが、これ多分指標として適切じゃないな、と最近思ってます。

正確に言うと、CPAの「A」の定義をちゃんと考えて評価しないと意味が無いな、っていうことです。

(※なお本稿は、そもそも昨今もう広告主側で媒体コンバージョンで評価しているところは少ないだろうから、基本的にリスティングもGAなりAdobeなりのアクセス解析ツールで評価している、というという前提に立って書きます。)

 

扱う商材にもよると思うんですが、例えば「転職」みたいなライフステージに関わる大きめの商材だと、例として丁度良いかもしれないです。

「なんかもう仕事飽きてきたな・・・。転職でもしようかな・・・。」

てな具合に思って、検索窓に「転職」と打ち込むと、リクルートさんなりマイナビさんなりエンジャパンさんなりと、いろんなサイトが出てくるわけです。で、私はとりあえず一番上にあるマイナビさんのサイトに行って、ふらふらとサイト内を回遊するわけです。飽きてきたら、検索結果画面に戻ってまた別のサイトを見てみるわけです。

そんな感じで三つ四つサイトを見た後、考え、判断するわけです。

「ぱっと見た感じ、マイナビが一番良さそうだな」みたいな。

はい、一先ずここで一つ目の評価が終わると思うのです。

つまり、ビッグワード「転職」で検索流入したユーザーのコンバージョンは、「どのサイトで仕事を探すか」なのです。だから、[CPA]の「A」を「会員登録」とか「求人応募」に置いてしまうと、本来の評価とは少し離れてしまう可能性が出てくると思います。

そして、「このサイトで探そう」が決まった人が取る行動はシンプルで、その後またサイトに来訪するはずなのです。なので、本来こういった場合、アクセス解析ツール上での評価は初回流入のビッグワードに対して、[リピート訪問]という評価指標が必要になってきます。これがないと、ビッグワードでのリスティングの評価は正しく行えないのではないでしょうか。

それゆえ、一般的に「ビッグワードはCPAが悪い」等と言われますが、これは実体に即していないというか、本質ではないな、と思うのです。

なお余談ですが、こういうビッグワードで、かつキーワードプランナーで調べた感じ、CPC1,000円オーバーの市場で戦うためには、やっぱり最低限自然検索で上位TOP5くらいには入ってないと、ほんとムリ!勝負にならない!!って思ってしまいますな。

ついでにもひとつ余談ですが、このビッグワード検索でのLPで個人的に一番良かったかな、と思ったのはDODAさん(http://doda.jp/promo/bene/029.html)でした。しかし、この次のステップでも同じLPなのはいただけないな、ということも含め後述。

 

さてさて、続きましては再訪問後の指標、ステップ2です。

新しい仕事を探す場所は決まり、サイトの中をふらふらと見て、いくつか目星い企業が見つかりました。(そもそも目星い企業が無くて離脱する、みたいなのはリスティング広告の問題じゃないので割愛します。)

このあたりでいくつか疑問が浮かんできます。

「転職ってどういう手順で進むんだろう?」「転職の面接ってどういう感じなんだろう?」と。

残念ながら、マイナビ転職サイトのトップページには、仕事検索機能はあっても、サイト内検索機能が見当たりません・・・。(率直に申し上げて、これはものすごくもったいないことをしてると思います。)

そこでGoogleで改めて「転職 面接」で検索をします。幸いなことに、このワードに対応したコンテンツ(http://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/mensetsu)をマイナビさんは所持していたので、自然検索結果から改めてマイナビのページに復帰することができました。しかし残念なことに、リスティングにおいては「転職 面接」できっちり適切なLPを用意しているサイトは・・・。ほとんどのサイトが「転職」の部分一致で入稿しているのか、最初のサイト選定の時とほぼ同じ結果が並びます。ということで、リクルートさんやDODAさんは、このタイミングでマイナビから顧客を奪い返すチャンスを失ったわけです・・・。

 

さて、ここでリスティングの運用、アカウントやキャンペーンの切り方の問題もありますが、ミドルワードでちゃんとキャンペーンと広告識別用のクエリパラメータが分かれていれば、アクセス解析ツール上で評価が明確になります。GAならばAdwordsと連携させておけば問題は生じないと思います。

そしてここで、[直帰率]は明確な指標になります。上記のように、検索ワードとLPが対応していない場合は当然直帰率が高くなります。おそらく、「転職」単体ワード以上に直帰率は悪化するのではないかと推測されます。結果として、おそらくこの「転職 面接」というミドルワードも効率性が悪い、ということになり、出稿停止になる可能性が出てきます。

 

そんなこんなで、最後のお話。

「なんだかんだで〇〇のサイトが一番いいな」

という具合に、最終的には心に決めたサイト「指名ワード」で流入してくる、というケースがおうおうにしてあると思います。結局のところ、マス広告を打っていないとしたら、「指名ワード」での検索流入というのは、アトリビューション的に考えると、ビッグ・ミドルワードにとっての一つのコンバージョンになるのではないか、と。

ということは、[指名ワード流入]というのも、アクセス解析上のコンバージョンポイントとして設定し、ファーストタッチチャネルやそれまでの流入経路に対する貢献効果として、指標を立ち上げる必要があると思います。

社名の指名ワードというのは、CPAが良くて当然。むしろ悪くなることは稀だと思います。ゆえに、むしろCPAで見る必要性も実は無いんじゃないか、という気もしてきたりします。

ということで、アクセス解析上では、「指名ワード」についたクエリパラメータを基準にして、一つの評価指標として立ててあげた方が良いのではないだろうか、ということを思うのです。そうすれば、これまでのビッグ〜ミドル〜社名での流れの全てを正確に評価できるようになるのではないだろうか、と。

 

そんなこんなを思い描いた結果、やっぱりリスティングの評価とアクセス解析上の指標というのは、もう少し考えを巡らせながら、CPAの「A」の部分をちゃんと考えないといけないな、と思うのです。多少の解析ツールのカスタマイズは必要かもですが、大した手間ではないので、自社で実験してみようと思います。結果、マルチデバイス当たり前の昨今ではこんな分析の仕方もナンセンス、ということになる可能性も高いですが。

以上。

スマホでの電話番号タップを計測する方法

※注意※本稿における記述コードはあくまでデータ分析担当者が適当に書くレベルのJavaScriptなので、そのままサイトに適用すると不具合等が生じる可能性があります。あくまで本稿内のJavaScript記述はサンプルですので、実際に実装する場合はそのまま適用せず、ちゃんとコーディングのプロに依頼・検証の上で実施してください。

 

スマホの電話番号タップをマイクロコンバージョン的に取得する、なんていうシーンもいろんなとこで増えてきているのだろうと思う今日この頃。

なので、スマホの電話番号タップを計測する方法でも書こうと思います。

スマホサイトで電話番号ボタンをタップすると、「発信」or「キャンセル」の選択画面が出ると思います。「発信」選んだか「キャンセル」選んだのかまでは測れませんが(多分)。とりあえず、電話番号ボタンが押されたタイミングでタグ飛ばすのは割と簡単です。

ちなみに、clickイベントでも計測できかもしれないのですが、実際のとこよくわかってないので(実機検証がメンドくさい・・・)、あえてスマホのタップイベントで計測できるようにします。

さらっと手順を書きますと。

  1. 電話番号ボタンをdivかなんかで囲って、idなりclassなり振る。
  2. ページでjQueryライブラリ読み込む。(無くても良いけど有る方が楽なので。)
  3. 計測用のJSファイル内に電話番号タップ計測用の記述を書く。もしくはタグマネで計測用コンポーネントを作る。
  4. あとは勝手に計測されていく。

以上です。
では具体的に。

1.電話番号ボタンをdivかなんかで囲って、idなりclassなり振る。

<div id=”telbutton”>
<a href=tel:**********>
<img href=”/imf/~~.jpg”>
</a>
</div>

みたいな感じで。

2.jQueryライブラリ。

割愛。

3.JSの記述。

$(“#telbutton>a[href^=tel]”).bind(“touchstart”,function(){
/*ここに計測用の記述書く*/
})

という具合で。

例えばGAだったら。

$(“#telbutton>a[href^=tel]”).bind(“touchstart”,function(){
ga(‘send’, ‘event’, ‘tapevent’, ‘tel_tap’, this.href);
})

みたいな感じになるのだと思います。

Adobe Analyticsだと。

$(“#telbutton>a[href^=tel]”).bind(“touchstart”,function(){
s.events=s.linkTrackEvents=”event1″;
s.eVar1=”telephone button tap”;
s.linkTrackVars=”events,eVar1″;
s.tl(true,”o”,”telephone button tap”)
})

みたいな。

こんな具合で、JSファイルなり、タグマネのコンポーネントなりに仕込んでおけば良いと思います。

 

4.結果。

あとは計測結果が溜まってのお楽しみ。一応自社のスマホサイトでは問題なく稼働してます。

ちなみに、やろうと思えばAdwordsなりその他広告タグも飛ばせます。タグによってはとても面倒な上、技術上の問題を引き起こす可能性があるので、これまた専門家に要相談ですが。

 

ということで、電話番号タップも計測できれば、リスティングやスマホ広告の効果を測る上での足しにはなるのではないでしょうか?

 

以上です。

アクセス解析を上手くやる方法

「アクセス解析を上手くやる方法を教えてください」

と言われたら、皆様ならなんと答えるでしょう?現状の僕ならこの五つを挙げます。

 

  1. 複雑なことはアクセス解析ツールではやらない。
  2. 精緻な数値を求めない。
  3. ExcelやBI等の3rdPartyソリューションとの連携を考慮して設定する。
  4. ちゃんとしたKPI設計を先にやる。
  5. データを「捨てる」覚悟を持つ。

 

1.複雑なことはアクセス解析ツールではやらない。

アクセス解析はいろいろな数値が見れますし、セグメント機能を使えば、割と複雑な絞り込み条件を組んだデータも抽出できます。ただ、アクセス解析ツールはあくまでウェブの簡易健康診断装置だと割り切るべきです。

アクセス解析ツールは飽くまでウェブ上の行動データの集積装置、およびモニタリングのためのソリューションだと思います。そのため、三つ以上のクロス条件・絞り込み条件が絡むような深い分析や、至極限定的な行動のデータのみを抽出するようなことをすると、どつぼに嵌まるケースが多いです。

例えば、「自然検索」で「トップページにランディング」した「初回訪問ユーザー」で、「真っ先にサイト内検索を実行」したユーザーの「その後にたどった経路」みたいなごく限定的な条件を抽出するのは、骨が折れると同時に、そのデータの使い方を明確に考えていない限り出しても無駄です。

上記のような条件の場合、簡単に想像が着くと思いますが、そのデータだけを出しても何も見えません。比較対象が明確ではないことや、仮説とアクションの結びつきが想像しづらいこと、またそれぞれの行動の動機が明確にできないことなどが理由です。

また、そういったデータは飽くまでテンポラリーなデータにしかならず、定常的にモニタリングすることは少ないと思います。やりたければGoogle AnalyticsユーザーならばBigQueryを使う、AdobeユーザーならAdhoc Analysisを使う等を考えた上で、さらにOptimizelyなりAdobe TargetやClickTaleなりを組み合わせて「何をどのように明らかにするのか」までを考慮すべきだと思われます。

 

2.精緻な数値を求めない

アクセス解析では傾向さえザックリと捉えられれば良い、と個人的には考えています。アクセス解析は手段であって目的ではない。あくまでウェブの改善を目的とした傾向把握と意思決定ができればOKだと思います。

つまるところ、意思決定、もしくは何が起きているかをパッと理解できるレベルでの「傾向」「割合」「比率」さえ抑えてしまえばOKだと思います。

細かい数値の整合性まで追おうとするほど、設定がどうだ、定義がどうだという話になります。結果、脳の処理容量を超えてどつぼに嵌まる、というもの。

また、一番の問題は、意思決定のための会議が、「この数値は実績と合わない、どういうことだ」みたいな話になり、建設的な議論が全くもって進捗しない、ということです。

なので、アクセス解析の数値はあくまで参考値として扱いましょう。

 

3.ExcelやBI等の3rdPartyソリューションとの連携を考慮して設定する。

アクセス解析ツールは、ウェブ上で起きていることをモニタリングするためのツールです。ただ、誰しもがアクセス解析ツールにログインして使いこなす必要はありません。

ウェブの数値は飽くまで経営情報の一部に過ぎません。最終的な売上や契約数などは基幹DBの方にあるはずです。なので、そういった数値とウェブデータをつなげて見られるように考慮し、ExcelやBIなどとの連携を考慮すべきです。

例えば営業ならばウェブからの資料請求実績値をCRMから引っ張ると同時に、ウェブ上でのトラフィック量も併せて知りたい、というニーズがあるはずです。その際、アクセス解析ツール上で取っているデータとCRMのデータの名称が異なれば、都度都度ルックアップテーブルを介して結合作業をしなければいけない、などの手間が発生します。ただ、そんな面倒なことはやりたくないし、最初から他ソリューションとの連携が考慮されていれば、アクセス解析データとCRMデータをAPI経由でBI上に取り込んで結合することが可能です。

Adobe AnalyticsにせよGoogle Analyticsにせよ、この手のAPIは用意されているし、それを活用すれば作業の簡略化が図れます。なので、予めそういった他ソリューションとの連携は考えて設計すべきだと思います。

 

4.ちゃんとしたKPI設計を先にやる。

アクセス解析の一番の敵は、いろいろなデータを取りすぎて、何がなにやら分からなくなる、ということだと思います。ことAdobe Analyticsのようにカスタマイズ性の高いツールほどこの手の状況に陥り易いと感じています。

こういったことを防ぐためにもKPI設計を最初にしっかりとやることが必要だと思います。見るべき指標さえ明確になっていれば、無駄な指標やレポートが増えることもないですし、「これを知りたいときはこのレポート!」という決めが作れると思います。

また、上述3の話にも絡むところですが、KPI設計がきっちりできていれば、基幹データをアクセス解析ツール側に取り込む、というところも設計まではスムーズにできるようになると思います。(実作業は別として)

KPIの立て方はこの辺のブログ参照。また別途うちの会社でやってる方法も紹介しようと思います。

 

5.データを「捨てる」覚悟を持つ。

アクセス解析はテクノロジーの進化や検索エンジンの仕様変更、ビジネス構造の変化などなど、多様な要因によって都度調整が走るものです。年月が経つほど多様なデータが混じり込み、以前のデータ形式ではビジネス判断にそぐわないケースも多々出てきます。

そのため、数年に一度はデータのクリーンアップをすべきだと思います。無駄なものは無駄!と割り切れるようにしておくべきだと思います。

 

以上あくまで私見ですが。ご参考まで。