マイナスを0にすることは難しい

「もっと問題解決型の取り組みを – U-Site」

この記事を読んで、面白いなぁと思ったので一筆。事業者側のウェブの中の人からすると、強く共感できる部分がある、と同時に少し違和感を感じる部分があったので。

記事内容は読んでいただくとして、僕が気になった部分は大きく三つ、下記に抜粋させていただく。

抜粋1:“マイナスを0にする、つまり問題解決型のアプローチと、0からプラスにのびてゆく、つまり着想育成型のアプローチを区別し、関係者の関心は後者に集まりがちだけれど、前者をマイナスのままに放置しておいて、プラスになった面だけを嬉しがってはいけない”

→非常に共感する部分。

抜粋2:“魅力は人を引きつける。そして魅力を向上させれば商いとして成功する。このような短絡的な発想が、基盤となる当たり前品質への取り組みである問題解決型のアプローチに目を向けない結果につながっているように思う。”

→これは事実と思う一方で、なぜそうなってしまうのか?という点を考える必要があると思う部分。

抜粋3:“したがって問題は、ワークショップのテーマとして取り上げられる事柄に、そもそも問題解決型のものが設定されていないということであり、それはオーガナイザの責任であるともいえる。”

→ この点については、参加する・させる側としては若干違うな、と思う部分。

上記抜粋部分中心に、サービス提供社側のウェブマスターとしての視座から思ったことを書いてみる。なお、下記はあくまで「ウェブ」に限定してUXを考えた時の話として記述する。また同時に、下記は一般企業というよりも私が勤める会社のウェブサイトにおいての話だという前提に基づく。

《共感できる部分》

まず抜粋1の部分は強く共感する部分であり、弊社でも多々見られる傾向である。と同時に、抜粋2にあるような思考がその礎になっていることも事実だと思う。

では、2のようになってしまうのはなぜか?

一つは現場担当者とマネジメント層との視点の違い、という部分がある。非ウェブ専業企業におけるマネジメント層は年代的な影響もあるかもしれないが、まずウェブのにおける改善を理解していないことが多い。

「新しいキャンペーンサイト作りました!売上が〜〜円立ちました!」という報告は報告側にとっても管理する側にとっても非常に聞こえが良い。一方で、「これまでのサイトで分かりづらくなっていた部分を改修しました!売上が〜〜円上がりました」という話は、地味に聞こえると同時に、これまでその程度のこともやってなかったのかよ・・・という印象を上に与えることになりかねない。こと、ウェブを理解していないマネジメント層を相手取る場合には上記のような話が通じづらく、「そんなことやってないで、もっと売上が上がることを考えろ」と言われかねない始末となる。そのため、現場レイヤーは最低品質を担保するよりも、新規の施策に走らざるを得ないということは理解すべき点だと思う。そもそも、最低品質担保のための改修は、明確な金額換算がABテストをかましても出しづらい、という部分も原因の一つではある。

二つ目として、「魅力は人を引きつける」ということが既にユーザー目線ではなく、サービス提供者目線での考えであることに起因する。言い換えれば「UX」という考え方自体が欠落している状態とも言えるため、「マイナスを0にする≠UX」という構図は間違いとは言えないと思う。

ここまでが個人的に共感する部分なのだが、同時に違和感を抱く部分の根幹にもなる。特に二つ目の観点において。

 

《違和感を感じる部分》

主に違和感を抱いたのが抜粋3の部分である。

問題解決型(マイナスを0にする)のワークショップがあったとして、そこに上記のように抜粋2の状態にあるサービス提供者側を参加させたとしても、返ってくる回答は見えている。「当たり前の内容過ぎて意味なかった」と返答になるだろう。根本的なマインドとしてユーザー目線が欠けているサービス提供者にとって、最低品質を保証することなどは既に出来ていると認識(妄想)していることが多い。そういう人間にいくらマイナスを0にすることを説いても、ワークショップとしては実は身にならないことが多い、というのが個人的な見解である。

であれば、ユーザー目線での取り組みがUXの基盤だと考え、まずその観点を養うための起点としては必要ではないかと個人的には考えている。ひとまず新しいウェブサイトの企画でもいいから、まず「UX」、ユーザー目線での思考方法を植えつける。まずは起点を作るという点では、着想育成型も決して悪いものではないと思う。

では何が悪いのか。つまるところ、ワークショップで設定される「テーマ」というよりも、主にワークショップに参加する側のアフターフォローや、前提構築に問題があると思う。私自身もその手の有識者を招き入れ、社内ワークショップを企画実践することがあるが、往々にしてその場では参加者も概ね満足するし、学んだことを実践し、0から積み上げる施策やっていこうとする。当然、マイナスを0にする取り組みには繋がらない。なぜか。その実、企画の段で実は意図としてマイナスを0にする取り組みへの足がかりにする仕組み作りが足りていないが故に、結果として最低品質を保証するためのUXに成り得ていない、というところなのではないだろうか。

 

そんなこんなで、UXやカスタマージャーニーが往々にして根本的な問題解決に効かない、ということは思わないし、とは言え単純に話題が集まるところだけを見ても「マイナスを0にする」というのはもう少し緻密に考えていかないと難しいことだよなー、ということを一企業のウェブマスターとしては思う限りです。

『マルチデバイス時代のWebデザインガイドブック』

正月休み、サラッと読んだ。主に実際のサイトを例示しながら、昨今のマルチデバイス対応の動向やタイプが分かりやすく説明された本。

実際に制作現場でゴリゴリやってる人にとっては当たり前の話ばかりでつまらない内容かもしれない。けれど、コーディングとか詳しくないディレクターや、僕のようにJavaScriptやCSSを齧った程度の分析屋さんにとっては、改めてマルチデバイス対応への基本的な考え方が整理されて勉強になる一冊だと思う。

「pxとemが混在してんだけど、何これ?」とか「Fluid GridsとFlexible ImagesとMedia Queriesの違い分からん」とか、「スマホで表示すると画像がボヤケるんだけど?」みたいなマルチデバイスに関する基礎を知る上でも、端的にまとまっていて非常に勉強になりました。

ただ、詳細なコーディング等について触れているわけではないので、前述のとおり制作ゴリゴリされてる方にとっては釈迦に説法といったところなのだろうな、と。

これからマルチデバイス対応が求められるウェブ担当者向けの本、という具合。

ヒートマップツールが素晴らしい

ヒートマップツール無しでウェブの改善なんてできない!

ということを最近強く思う。

ウェブ分析(アクセス解析)を中心にデジタルマーケティング領域に携わってきた私ではございますが、アクセス解析の何が厄介って、そりゃもう「ページのどこ直せばいいの!?」という部分が一番の悩みどころだったりしてきたわけです。

アクセス解析ツールを使って分析すれば、サイト全体のパフォーマンスは分かるし、流入単位での成果も分かるし、導線を追えば大体のボトルネックページはあたりがつけられます。つまるところ、「サイトのどこ直せばいいの!?」という設問には簡単に答えられるのです。が、しかし、それだけでウェブサイト改善できるほど世の中甘くない。サイト利用者なめんな、そんな単純な動きしてねーぞ、と。

で、まぁボトルネックを抽出して仮説が立てば、当然そこでOptimizelyなりAdobe Targetなりにかけて改善策の良し悪しを測ることはできる。が、この「改善案」というのが全くもって難しい。テストも三回試してどれも不発なら、ウェブ担当者の心も半ば折れかかる、というもの。コストかけて改修したのに、CVR変わらねぇ・・・、みたいな。

まぁ、それも考えて見れば当然のことで、アクセス解析で訪問者が「どうページを遷移した」かは分かっても、訪問者が「ページのどこを見た」のかは分からないのだから、ページの改修も半ば当てずっぽう、自身の想像の域を超えない改善案しか生まれない。

つまるところ、自身の想像自体が間違っていればThe End…。いつまでたっても成果はでないわけで・・・。

 

そんなこんなで、ヒートマップツール入れました。「ユーザーって実際、ページのどこ見てるの?」という質問に回答するために。(ぶっちゃけ、アクセス解析はもう飽きた。)

さて、長々と書いてしまいましたが、ここからが本題になるわけですが、
その前に一旦ヒートマップツールのタイプについての所感を書きます。

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