そういえばそうだ。
この記事の最後に、「人間の行動を表す最重要データとは何ぞや」っていうことを書こうという旨、メモしてたことをさっき思い出した。
そう、これは書こう。書きたい。最近Google HomeとかLINEのClova Waveとか発売されて話題だし、ちょうどいいや。
まず前提として、僕はArtificial Intelligenceを略した意味での「AI」という単語が嫌いです。「人工知能って笑」みたいな。ハーレイ・ジョエル・オスメントよろしく、ちょっと未来見過ぎじゃないですか?って。
けど本文では一応、AIって言葉使います。僕が指すところとしては、IBMさんが言っているArgumented Intelligence(拡張知能)の意味ですが、めんどくさいんで「AI」で統一します。好きに読んでください。以下、読みたければですが。読まなくても大丈夫です。ただの与太話なんで。
音声認識データはPsychographic Dataです。
ここ数年、僕がずっと言ってきたことが一つあるんだけど、大抵の人からは「ふーん」としか言われないことがあって、それが「音声認識技術とサイコグラフィックデータの関係性」であり「音声認識技術を制した者がGoogle、Facebookの次のデータカンパニーになる」ということでした。
そして、その急先鋒がSonyである、ということも併せて。だって、デバイスもアプリケーション技術もブランドも、さらに言えば音楽や映画などのコンテンツまで既に持ってるっていう、完全にポテンシャルだけ見れば世界最高の会社じゃないですか。(あー、ほんと残念。完全に乗り遅れてる。)
さて話は戻りまして。人は何をもって対面する人の気分を察するのか。それは表情であり、仕草であり、そして「声」であり。
表情、仕草、声。この中で最も取得が容易であり、かつ解析可能なものは何かと言えば、言わずもがなの「声」であるということ。そして「声」には感情が宿っているということ。
人は気分で買い物するよ。
イライラしてる時はちょっとした粗も気になるもの。気分が良い時は財布の紐も緩むもの。寂しい気分の時に陽気な広告見せられたらイラッとしてしまうということ。新垣結衣のCMなら例外かもしれないけど。
それは、行動経済学の示すところで言う「人間はエコンではなくヒューマンである」ということ。人は「その時の感情によって購買行動は変わる」と存在だということ。
そう、どんなにイケてるバナー広告出しても、ウキウキしてる状態とイライラしてる状態では、同じ人物であっても受け取り方が変わってしまう。そんなこと、当たり前ですよね。超当たり前。だって、みんなそのことを経験してるんですから。
何かを買ってもらいたい、と思って広告を出すのなら、気分が良い時を狙うのが最も効率的であるわけで。あるいは酔っ払ってる時狙うとか。会員登録して欲しいなら、時間的にも精神的にも余裕がある時を狙うのが一番CVRが高まる。それはもうほぼほぼ確実なこと。
予算計上の承認得るためのマネージャーMTGを設定するなら、夕方ではなく昼飯後の午後一に設定する、っていうことと全く同じで、その辺はこれまでの学術研究でも広範に証明されていることで。
気分が良い時に広告を出したかったら、感情データが必要だよね
そう、感情データは最強のデータである。
検索キーワードやディスプレイから興味関心を導き出したGoogle。実名登録によって高精度なデモグラフィックデータを得たFacebook。けどどちらのデータも、「リアルタイムで得られる感情データ」には残念ながら敵わない。
振られた直後で沈んだ気分の男女はきっとどんなに素敵なアクセサリーであっても買わない。うれしい・楽しい・大好き!な気分であれば、年齢性別問わず粗悪なアクセサリーでも買ってしまうかもしれない。そんなもんだ、人間なんて。
さて、話は戻りまして、「リアルタイムで得られる感情データ」と先述したのには意味があります。
サイコグラフィックデータには、「フロー」と「ストック」があるのは推測に難くないところでしょう。
「フローの心理データ」はこれまでに記述した「その時々の感情」を示す。
他方「ストックの心理データ」は、つまるところの「その人の性格」を示す。気分がアップダウンしやすい人か、他人の意見に流されやすい人か。物事に対して楽観的か悲観的か、などなど。
音声AIって、心理データの宝庫。ダイヤモンドの原石だね。
そう、音声を取得し、分析することでその人の心理データをストックすることが可能である。だから音声AIはヤバイ。ここでシェア握った会社は圧倒的優位を得ることになる。
つまるところ、音声AIの市場シェア争いは、データ争奪戦だとも言える。たぶんGoogleのように、一企業がほぼ独占状態になるようなことにはならないと思うが、それでもシェア20%でも握れば、データビジネスが成立する。
正直、モバイル端末での音声検索が市民権を得て一般化すると、それはそれでもう生活超密着型のサイコグラフィックデータが得られるわけなので、ヤバイ。マーケター的にヤバイ。良い意味でも、悪い意味でも。同時に、生活者の視点でも利益を得られるけど、まぁ逆もまた然り。
ということを思いつつ、まず音声AI搭載のデバイス市場抗争が始まった。まだしばらくはシェア争いが続くだろうから、この手のデータ産業は次のフェイズになると思う。
音声データのビジネス化が始まったら次は「ストックの心理データ」の精度向上フェイズ。そして「フローの心理データ」へ。
そんな具合で、世の中のマーケティング手法も変わっていくと思うわけです。
けどまぁ、本質、やること一緒。
と、長々と書いてみましたが、「マーケティング」という職に携わる人がやるべきことは特に変わらなかったりする。
消費者の心理に寄り添うこと。
これが全て。それがより具体化するぜ、この次の数年で。っていう話だと思っています。
で、その業務をArtificial Intelligenceが担う時代はさらにもっと先。まずAugmented Intelligenceの力を活用して、消費者の本質により近づくことが大事って話ですよ。
ただ、ここまで書いて思ったんですけど、サイコグラフィックデータって、かなりピンポイントすぎるから、パイ取れないかもなー、とかも思うわけです。と同時に、今で言うところのMAにおけるシナリオ設計の職能ってのは、今後数年生きるな、とも思いました。
以上、思いつき&。