いくら世の中的に「デジタルマーケティングが重要」って言われてたって、はっきり言って事業会社側の中の人にとっては全くもって響かない話である。
僕達に明日は無い。
正確に言うと、10年後に僕らが着ける椅子は無い。キャリアパスは無いのだ。
10年後に定年退職を迎えるような、40後半から50代のIT企業の役員様は言う。
「Chief Marketing Officerが必要だ!」とか。
「もはやデジタル抜きにマーケティングはできない!」とか。
アホなのだろうか。あなたがたはもうビジネスマンとしての区切りが見えているからそんな無責任なことを言えるのだ。今の20代後半から30代半ばのデジタルマーケティング従事者からしてみたら、そんなものは戯言でしかないのです。
僕らにキャリアパスは無い。
それは、少なくとも現時点の、ECの占める販売比率が全体の半分以下の会社に勤める者にとっては、紛れもない事実である。
どれだけウェブに強くても、どんなにリスティング広告を理解して、Google Analyticsを使いこなしていても、そのスキルは10年後には役立たない。
それは、僕らのような広告主側の人間だけじゃない。おそらく今後は「なんちゃらデジタル」という社名のエージェンシーも、キャリアがどん詰まりになると思っている。なので、なんちゃらデジタルとか、なんちゃらコスモスとか、アルファベット三文字の会社とかで働いている20代は10年後、20年後自分がどういう仕事をしていたいのか、ということも熟慮した上で、必要なスキルセットを伸ばさなければいけない。「将来を考える」というのは、どんな仕事においても必要なことだと思うが、殊更デジタルマーケティング従事者はしっかり考えるべきことだと思う。
デジタルマーケティングはトップラインを伸ばすもの
だと思うんですよ。MAとか、DMPとか、ターゲティングということ自体。
だからね、売れないものは売れない。商品力の無いものを売ることはできないんです。商品力あってこそのDigital Marketing。
そのものだけで売れる力量が10の商品を、20%増させて12個売れるようにするのがデジタルマーケティングの仕事。
商品力0のものはどれだけデジタルで頑張っても売れない。商品力8の商品Aで10の商品力を持つBと対等に勝負できるようにするのがお仕事。商品力10の商品を5に押し下げるのもまた然りですが。
でね、じゃあ、商品力10の商品作る人と、+2の上積みをする人、どっちが偉いの?っていうと、まぁ確実に前者ですよね。そこは覆せない事実なわけで。で、どっちの方が会社として重宝されますか?っていうと、それまた自明で前者なわけですよ。
だから、現在の「デジタルマーケティング」と呼ばれる領域の、特にフロントエンド側に近い領域にどっぷり従事している人は、そこだけに留まっていては、商品企画や営業、技術開発の人間には勝てない。説得力が出せない。
デジタルマーケティングは何を目指す?
「デジタルマーケティング」という言葉の正しい意味は況や「マーケティング活動にデジタルソリューションやデータを活用して、マーケティング精度を高める」ということである。
つまるところ、基本的に「マーケティング」という土俵の上に立たなければならない。というか、それが大前提だ。その上で、「デジタル」という強みがあれば、正直今ならかなり勝てると思う。
さて、結局何が言いたいかというと、大きく2つあって。
- デジタルマーケティングの基礎となる、データやソリューションの取扱方法は、さっさと自分のスキルとして定着させて、次のステップに移らないとヤバイ。
- 「デジタルマーケティングが熱い」っていう風潮は幻想だから、そこに執着しすぎない方がいい。
ということ。
特にレガシーな「Webマーケティング」たる、アクセス解析とか、ABテストとかをいま時点で「当たり前に」できてないっていうのは、結構なビハインドだから、超特急で数こなして技術もちゃんと理解して、次のステップに行くべきだと思いますよ。特に30歳前後くらいの人は。
なんてね。
以上、最近思ってることの走り書きでした。