ブランド側が求めるパートナーの理想形とは

友人からリクエストがあったので、表題の内容について書きますね。一応前提として、私はブランド側、つまり広告主側とか事業会社側と言われる方のMarketing担当者、という立場にあります。その一方で、最初に勤めた会社はパートナー側(事業支援会社)だったので、ある程度両側面から客観的に語れるように努めようと思います。

ちなみに友人からのリクエストテーマは下記の通りです。

ブランドが求める理想のパートナー像。現代における。 もしくはブランド担当者のタイプに合わせた最適なフォーメーション。

身も蓋もないことから言ってみる

初っ端から身も蓋もない結論を言ってしまうと、パートナー側に求めることというのは、その人自身(ブランド側のマーケター)のスキルセットに完全に依存します。なので、パターン別で論じないとこの手の話は成立しない、ということで、あー書くのめんどくせ、って思ってるけど書くよ。書きゃいいんだろ!!

マーケティング業務従事3年以内の担当者が求めるもの

完全に必要なのはメンター的パートナーになります。受発注を超えて、細かな点までケアできるホスピタリティが求められます。

極論、担当者から上長への報告内容までもコントロールしてあげるくらいの先読みスキルが必要です。資料作成を代行してしまうと担当者の成長が阻害されてしまうのでそれは行き過ぎですが、ある程度資料の作り方にアドバイスをするくらいまでケアする必要があります。なので、相応の社会人経験を持っている人間をあててください。

ブランドサイドもパートナーサイドも若手の場合は危険です。これは言い換えると、20代が中心となっているパートナーサイドの企業は、まず掲題のブランド担当者だった場合、はっきり言って手を引いたほうが良いと思います。これはある程度偏見も入ってるので申し訳ない部分もありますが。

デジタル、特にオーガニック系デジタルを中心にやっていた担当者の場合

経験にもよりますが、例えば僕のように10年以上デジタルをやっている人間からすると、必要なパートナーは日本でもトップレベルの人間です。新卒2年目3年目とかのパートナー側担当者が付いた場合、逆に僕が彼らの指導をせざるを得ないシーンが大量に出ます。これまじでストレスだし、金払ってる意味を見いだせなくなります。

自社内で対応が難しいと素直に認められるならば、自社外の人間に発注する方法も含めて、体制構築に力を注いでほしいです。

広告代理店からブランド側に転職した担当者の場合

率直に言うと、代理店系からブランド側に転職した担当者の場合、その担当者がブランド側の摂理を理解していないケースが多々あると思います。なので、多分パートナーサイドにも無茶振りかますシーンとかが散見される場合があります。

パートナーサイドに伝えたいことは、「Noと言えるパートナーになりましょう」ということです。

代理店からブランド側に転職している場合、散見されるのが「前職での経験の振りかざし」です。

こういう人間とは同じチームであっても、一緒に仕事していて「見苦しい」と感じるシーンがあります。なので、「No」「間違ってます」と言い切れるメンタリティと、その根拠をロジカルに説明できるだけの経験値を持っていてほしい。

ただし、ロジカルに説明できない場合は殺意芽生えます。ご注意ください。

Web制作に関わる人、特にデザイナーを称する人に求めたいこと

まず、てめーのデザインセンスを疑え。ブランドを理解しろ。IAの基礎くらい学んどけ。UXとは言わん、UIデザインの基本くらい抑えとけ。最低限のアクセシビリティに対する理解をしておけ。ブランド側のWebサイトをお前が好き勝手デザインできると思うなよ。好き勝手やりたいならば、それだけのデザインセンスを発揮できるくらいの経験を積むか、趣味で勝手にやっとけ。

以上です。てかマジ、クソみたいなWebデザイナー多すぎ。なんでお前らに俺がIAとかUI/UXとかアクセシビリティの基礎をフィードバックせなアカンねん。むしろこっちが金取るぞ、まじで。

こではWebデザイナーに求めることではない可能性もあるんだけど、その場合はWebディレクター働け、って話でもあるけれど。

とはいえ普遍的に効くコミュニケーションというものも存在する

まずパートナーサイドに一番求めたいことは、「ブランドを構築するチームの一員である」という自覚を持ってほしいです。SIer上がりの僕としては責任分界点を作ることに理解は示すものの、やはり求めたいのは「パートナーである」ということです。「下請け」という意識を一切取り払うことが望ましいです。

これはブランド側に所属している人間も常に意識すべき事項だと思います。

とはいえ、下請法等含め、お金や工数のやり取りのところについてはちゃんと仕切りましょう。不健全な取引は絶対にダメです。接待とかも絶対にやめましょう。お互いを不幸にします。

パートナーサイドに伝えたいこと

まず断言できることとして、ブランド側と主従関係にならないようにしてください。

多分パートナーサイドからすれば、主従関係になって、言われたことをやる、っていうスタンスで仕事したほうが絶対的に楽だと思います。けどブランド側が求めていることはそういうことではないのです。

ブランド側のマーケターもストレスを当然感じています。なので、社外に相談したい事項も多々発生するわけです。そういったときに寄り添ってくれる「パートナー」の存在はめちゃくちゃ心強い上に信頼します。

これを受け入れられるだけの度量があるかどうか、という事項は実は重要なスキルセットでもあると思います。

ブランドサイドもちょっとした言葉一つでパートナーのパフォーマンスを上げられると知るべき

一方で、ブランドサイドもパートナーを「パートナーとして」認めていることを言葉で表すことも重要です。上下関係ではなく、並走している、ということをブランド側が意識している、という事項を支援会社に伝えると、支援会社側のエンゲージメントは想像以上に上がります。これはマジで。ちょろいと思うかもですが、そんなもんですよ、人間なんて。

余談ですが、個人的な経験として、具体社名出してしまいますが、僕が最初の勤め先で非常に恩に感じている会社が複数あります。その中でもソフトバンクという会社の担当者に対してはいまだに感謝の念があります。

ある日、ソフトバンクのサイトに自社とは関係ない不具合が発生していることを発見した、支援会社側としての僕は、即座に先方とコミュニケーションを取りました。その時、すでにSB側ではその状態を把握していて、対応にあたっている状態でした。

これは「余計なお世話」をしてしまったなあ、と思って肩入れしすぎてるのかもと個人的に感じたところ、先方担当者からはこんなメッセージが送られてきたのです。

「関係ない部分だけど気づいて知らせてくれてありがとう。〇〇さんもようやくうちのチームメンバーの一員って感じになってきたね」

いやー、これはねえ、ちょっと泣きそうになったけど、ほんと「なるほどそういうことか!」って思った瞬間でもあったんですよ。こういう何気ない一言を伝えるだけでも、パートナー側のモチベーションやエンゲージメントは上がります。必要なのは叱責等ではなく、あくまでBelongingの意識だということです。

パートナー側は好待遇でブランドサイドのマーケターを引き抜くべき

なんだかんだ殴り書いてきましたが、一つ言えることは上記のとおりです。

これはただの持論ですが、より良いブランドとパートナー会社のあるべき理想像を作っていくためには、相互理解が圧倒的に足りていないのが現状だと思っています。

事象というのは常に多側面からの見方ができますが、これは双方の立場に立ったことがない限り難しい事項だったりします。なので、パートナーサイドはブランドサイドから、その知見や実際にどういうことを考えているのかをナレッジにするためにも、こういう方法を採るのも一手だと思います。

ちなみにですが、パートナーサイドとブランドサイド、同じ年齢で給与水準がパートナーサイドのほうが高い、というケースも現在めちゃくちゃあります、実は。ということもあって、色々検討しても良いと思うんだな。僕は絶対もうパートナーサイドには転職しないけど。

以上でーす。なぐり書きでした。あくまで個人の考えなので、あまり批判的なこと言わないでくださいね!!