『合理的なのに愚かな戦略』

『合理的なのに愚かな戦略』
著:ルディー和子

読んだ。まぁまぁ面白いです。前半は良かったけど、最後の章は微妙だったかな。終盤結構荒い。

基本的に企業研究本。顧客志向を掲げてイノベーションを生み出せない企業に対する苦言や、牛丼チェーンのプライシング戦略への否定など、なかなか的確で切り口も軽妙ゆえに読みやすい。こと、「お客様は神様でも、神様の中には貧乏神もいる」や、「多くの経営者はリスクを取れない」といった切り込みには、仰るとおりと共感を覚える。また、資生堂を槍玉に挙げて、日本のブランド戦略が「商品」ではなく「企業」に紐づいてしまう点、上手くいかない裏にあるしがらみといった部分も、過去の記事文献から推測していく様もそれなりに面白いと思う。また、企業規模の話においてもソニーを槍玉に挙げつつ、大きくなりすぎた企業を動かすことの難しさを論じるあたりも、まぁそうですわな、という感想。

ただ、さほどエッジの効いた知見が得られたり、仕事に役立つノウハウがあるわけではないので、個人的には、まぁまぁそうですね、という程度の印象に留まる。普通の企業研究論文の概略版を読み易く軽妙にしてまとめた本、という感じ。

学生が読むには薄いし、経営者が読むにしても後知恵すぎてイマイチ現状に生かせそうにない。つまるところ、サラリーマンの暇つぶし程度に読む本かなぁ、という気がしてしまう。

あと、行動経済学云々というのは別に書く必要無い気がする。

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『合理的なのに愚かな戦略』ルディー和子
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